2006年10月7日 朝日新聞
アーミッシュ流にメディア驚嘆 少女「私から撃って」
容疑者家族に「許し」
2日に、米ペンシルベニア州のアーミッシュの学校で女児5人が殺され、5人が重傷を負った銃撃事件が起こった。
容疑者は事件発生後自殺した。容疑者の女児に対する性的暴力願望があったとみられている。
撃たれて死亡した5人の女児の埋葬が6日、終わった。
暴力を排して生きるアーミッシュの人たちは、理由なき暴力に巻き込まれた直後から、許しをもって容疑者の家族に接した。
その対応ぶりは、米メディアは驚きの目をもって報道を続けている。
「私から撃ってください」。
亡くなった中で最年長だったマリアン・フィッシャ―さん(13)は、教室に残された10人の女児を容疑者が撃つつもりだとわかったとき、そう進み出した。
マリアンさんの妹で、病院で意識を回復したバービーさん(11)の話を聞いた人の話しとして、複数のメディアが伝えている。バービーさんも、「その次は私を」と続けたという。2人は、より小さな子供達を助けたい一心だったという。
容疑者の家族は、アーミッシュの一員ではないものの、地域に住んでいる。
アーミッシュの人たちはこの家族を事件の夜から訪ねて許しを表明し、手をさしのべたと伝えられる。
容疑者の家族は現地の主教を通じて被害者の家族への面会を求め、遺族の一部は容疑者の家族を子供の葬儀に招いたという。
アーミッシュの世界は現代的暮らしや暴力を排し、死後の世界への強い信仰をもっているとされる。
一般に「力」が信奉される米国で、悲嘆にくれる中にも暴力を許して包み込む生き方に、米メディアは
「慈悲の深さは理解を超える」
「女の子の驚くべき勇気」などとして報道している。
アーミッシュ キリスト教メノー派に属するスイス人 ヤコブ・アマンが17世紀に始めた宗派で、18世紀に米国に伝わったとされる。
聖書を厳格に解釈し、現代的な暮らしや暴力を否定する。
男性は幅広の帽子をかぶって、長いひげを生やし、女性は頭髪を隠して黒い靴を履くのが基本。
馬車に乗り、電気製品を使わない。
ペンシルベニア・ダッチと呼ばれる独自の言語を持ち、子供への教育も主に自分達で行う。
ペンシルベニア州やオハイオ州などに十数万が住んでいるとされる。
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