2009年8月10日月曜日

これは反戦映画だ。「セントアンナの奇跡」に泣いた。

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セントアンナの奇跡」

スパイク・リー監督作品

新宿テアトルタイムズスクエア

19:00~

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三女と二人で観てきた。大人の映画に付き合ってくれるのは、彼女だけだ。家族連れで今まで観た映画は、代表的なもので、あられちゃん、ドラエモン、オバQ、アンパンマンだった。子どもが小さかった頃は親子で、そして今は孫、親子三代で観ることになった。これらの子供向きの映画も頑張って観て、子供と同じように楽しめたのは半分ぐらいで、後の半分は寝に来たのではないかと、我ながら恥ずかしくなるほど熟睡してしまう。不思議なことに、なぜか鼾をかかないのは、せめて最小のエチケットは守っているようだ。我が家人は、子どもの成長に合わせて、それなりの映画を時々観ているのです。うまくやっているようだ。

今回は三女から声がかかった。映画好きの彼女から映画の題名を知らされ、調べたら、私(実際には、私の妻名義です)が株を保有する会社で上映していることを確認した。ささやかな株主に対する優待券だ。

東京テアトルです。

第二次世界大戦中に、イタリアのフィレンツェでアメリカの歩兵部隊に所属する黒人部隊の偵察隊4人が、ナチスの虐殺から逃れてきた一少年と戦火のなかで巡り会う。アメリカ正規軍のなかで、黒人部隊は最も危険な場所で、最も過酷な任務を強いられていた。心優しいアメリカ軍の偵察隊4人がこの少年を命をかけて守ろうとする。4人の一人、巨体の兵士(チョコレートの巨人、と愛称されていた)は、お守りのように、頭部の彫像を腰にぶら下げて、片時も身から放そうとしない。4人のなかでも、巨体の兵士は、一番親身に病気の少年を介抱した。巨体の兵士は、ノロマで頭が悪く、だが敬虔なクリスチャンで、戦場でありながら人など殺せるような兵士ではなかった。無類の優しさをもっていた。ある村にたどり着いた。しばしの安らぎのなかでの村民やパルチザンとの交流、そしてパルチザンの仲間別れ。その安らぎもつかの間だった。誰が情報をもらしたのか、ナチスの総攻撃を受けて、そこの村民らも、パルチザンも偵察隊も撃ち殺される。その情報をもらしたと思われる者はいた。村は殲滅された。負傷しながらも辛うじて生き残った一兵士が、その少年にキリストの十字架を首にかけてあげる。去りゆくナチスの一兵士が、たった一人生き残った兵士にこれで自分の身を守れと、一丁のピストルを与えた。兵士は、アメリカ軍に救助された。少年も生きながらえた。

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その村の名は、トスカーナ。頭部の彫像は、サンタ・トリニータ橋に、メディチ家の結婚を祝って作られた四季の彫像の一つだった。ナチスの攻撃で橋は破壊され、行方不明になっていた、春のプリマヴェーラだったのだ。

そして、60余年後、現代のニューヨークで郵便局員が、切手を買いに来た客をピストルで撃つ。壮絶な殺人事件と、心穏やかな犯人。殺された男は、かってのフィレンツェでしばしの安らぎを味わった村で、仲間を裏切ったパルチザンの一人だったように私は思ったのだが、これは確認中です。巨体の兵士がお守りのように大事にしていた頭部の彫像は、犯人の自宅で見つかる。

やがて、助けられた少年は事業家として成功した。ある日、カフェでコーヒーを飲んで新聞を読んでいた。その新聞で、ニューヨークで起こった郵便局員による殺人事件と、頭部の彫像が犯人の自宅から発見されたことを知った。

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犯人の保釈金100万ドルは、かっての少年、現在の実業家が負担した。そして終幕には、二人が海岸で会い抱き合うのでした。

戦争中の頃、黒人達はアメリカ社会においても、軍隊の内部ならなおのこと、厳然として黒人差別があった。

本気で、為政者や人権運動家が、公然と黒人差別をなくそうと叫んだのは、ずうっと後のケネディ大統領だった。この映画の時代の20年後のことだ。それまでは、黒人差別が常態だった。ケネディは、1963年にダラスで凶弾に倒れるのだが、やっとこの時期にきて、大統領は、議会において公民権運動に取り組もうとしていた矢先のことだった。そしてキング牧師らが公民権獲得、黒人差別撤廃を掲げて、ワシントンに向けての大行進が始まった。「私たちには、夢がある」と人種差別のない社会を目指し、have a dream と唱和した。

そして、今のアメリカ大統領はルーツをアフリカの故郷にもつ黒人のオバマだ。アメリカは黒人の社会でも白人の社会でもない、ここはいろんな人種が融和するアメリカだと宣言した。

追記。映画を観終わってから、アメリカ軍やドイツ軍、それにパルチザンはいたけれど、何故イタリア軍が出てこないのか、と疑問した。この時点ではイタリア軍は、既に連合国側に降伏していたそうです。でも、ドイツ軍はイタリア攻撃を止めるどころかどんどん進軍していた。

---------------以下は、プロブラムより---------------

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★現代、ニューヨークの殺人事件。1944年、フィレンツェの消えた彫像事件。

2大陸、2つの時代を結ぶ謎が今、明かされる。-----

1983年、アメリカ、ニューヨークの街に、衝撃が走った。郵便局員が、窓口に切手を買いに来ただけの男を、顔を見るなり突然射殺する。犯人の局員は、前科もなければ借金もない。精神状態も良好で、25年間仲睦まじく暮らした妻は病気で亡くなり、定年退職の3ヶ月前だった。

さらに不可解なことに、局員の部屋から、彫像の頭部が発見される。それは、イタリアのフィレンツェのサンタ・トリニータ橋を飾る「プリマヴェーラ」で、歴史的に大変貴重な作品だった。1944年にナチスが橋を破壊した時から、行方不明なっていたのだ。

いったい郵便局員と男の間に何があったのか?なぜ、闇市場に出せば500万ドルはするという美術品が、局員のクロゼットの中に眠っていたのか?

すべての謎を解く鍵は、彫像が消えた1944年のイタリアにあったーー。

★1944年、イタリアのトスカーナの村に、奇跡が起こった。

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この子を守りたいー黒人兵の願い。

それは、第二次世界大戦の真っ只中だった。郵便局員は兵士として、イタリアのトスカーナで戦っていた。彼が所属するのは、第92歩兵師団、バッファロー・ソルジャー。アメリカが過酷な「最前線」に送り込む、黒人だけの部隊だ。ナチスが待ち受ける中、偵察隊として彼を含む4人の黒人兵が川を渡ることに成功するが、その中の1人が爆撃に倒れた少年を助けたことから、彼らはそのまま部隊とはぐれてしまう。

少年を見殺しにできなかった優しい兵士の名はトレイン。フィレンツェで拾った彫像の頭を、お守り代わりに持ち歩いている。少年が足手まといだと怒るのは、いつも自分勝手なビショップ。無線兵のヘクターはイタリア語が堪能で、首から下げた十字架にキスをするのが習慣の信心深い男。彼らをまとめるリーダーが、知性溢れるスタンプスだ。

少年にはどこか不思議な雰囲気があった。自分だけに見える「友達」がいるらしい。少年は、初めて見る黒人であるトレインを「チョコレートの巨人」と呼び、彼にはすぐに心を開く。大きな体に純粋な魂を宿すトレインは、少年には何か神秘的な力があると信じるのだった。

★村を守りたいートスカーナの人々の願い。

4人の黒人兵は、少年の治療と食料を求めて、村を守るという言い伝えのある〈眠る男〉の山のふもとに辿り着く。彼らはレナータという英語の話せる美しい女とその家族に、強引に世話になる。

ケガから回復した少年が”友達”に「助けてあげる?」と話しかけると、壊れていた無線機が急に音をだす。それを見たヘクターも、少年の不思議な力を信じ始めるのだった。無線機からは白人大将の無謀な司令が流れる。ナチスに囲まれた村で孤立しているというのに、自分達でナチスの兵士を捕虜に取れというのだ。

村に足止めされる日々のなかで、4人の兵士と村の人々は、徐々に心を通わせる。黒人を知らない彼らに、偏見はなかった。故郷アメリカでは、人種差別で辛い思いをしてきた。そして今、国のために戦っているのに、黒人兵の命は紙くず同然に扱われている。イタリアの空の下で、ビショップはレナータを誘惑し、トレインは少年との友情を深め、ヘクターとスタンプスは初めて人としての自由を感じるのだった。

★せめて子供たちだけは守りたいーある兵士の願い。

村でのひと時の休息は、思わぬ来客の到来で終わりを告げる。ベッピが率いるパルチザンたちが、食料を求めて山から 降りてきたのだ。国内のファシズム体制に抵抗し、ナチスと戦う彼らは、果たして味方なのか?彼らが捕虜にしていた1人のナチスの兵士をめぐり、小競り合いが起きるが、尋問が終わればアメリカに引き渡すというベッピの言葉で、ひとまず彼らは休戦状態になる。

その時、捕虜のドイツ兵が、不可思議な行動に出る。元気な姿の少年を見て涙ながらに喜び、彼を抱き寄せると何事か囁いたのだ。その光景が心に引っかかるヘクターは、少年との対話を試みる。トレインに促されて、少年は初めて自分のことをポツリポツリと語り始める。名前は、アンジェロ、セントアンナからやって来た。教会でドイツ人と会い「全速力で逃げろ」と言われた。彼は友達だが、もう1人の男が怖いーー。

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実は、セントアンナでは、ナチスによる民間人の大虐殺が起きていた。アンジェロは、その汚れなき瞳で、いったい何を見てしまったのかーーー?

誰か裏切り者がいたのか?村に押し寄せるナチスの大軍。つい昨夜、酒を酌み交わしダンスを踊った人々に、容赦なく降り注ぐ銃弾の嵐。肩を撃ち抜かれたアンジェロを抱えて、遂に力尽きるトレイン。その時、ひとつの奇跡が起きようとしていたーー。

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