2008年6月9日月曜日

出塁率が示す哲学 福留

福留孝介は、名門大阪PL学園から日本生命を経て、98年にドラフト2位で中日ドラゴンズに入団した。打撃で守備で、数々のタイトルを手中におさめてきた。96年、04年の2度のオリンピックにおいても大活躍した。だが、昨シーズンはヒジ痛のため81試合にしか出場することができなかった。そんな福留がオフにFA宣言して、カブスに入団した。
私は、不安だった。いくら福留と言えども、戦列から遠ざかっていたのだ。そんなに大リーグは甘くないはずだ、と心配していた。
が、私の心配なんて、雲散霧消。開幕早々からの大活躍に、さすがに大物だと感嘆した。今シーズンの始まりの頃、社内の野球ファンの誰にも、アイツは凄いな、と感心ばかりしていた。その勢いが止まりそうにない。
4年の契約で、4800万ドル、日本円にして53億2800万円。球団はきちんと算段していたのだ。
そんな彼の成績を,イチローと比較しながら、数字をもって分析した記事には驚いた。すごい評論家だ。
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(2008060?)朝日朝刊 スポーツ
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カブスのルー・ピネラ監督は、福留に絶大なる信頼を寄せている。「彼は大リーグ最高の右翼手だ」。
かって指揮を執ったマリナーズでもイチローに同じ賛辞を送った。守備範囲の広さ、肩の強さ、送球の正確さ。2人の守備能力は確かに両リーグの双璧と言っていい。
ただ、打者としての2人には決定的な違いがある。
それは野球に対する哲学の相違と言ってもいいだろう。「ファンは僕の四球を見るために球場に来るのではない」と話すイチローは、安打を放ち続け先人の記録を塗り替えることに意義を見出す。
一方の福留は「いかにアウトにならずにチームの攻撃を長く続けさせられるかを考える」と語る。
イチローが大リーグ入りした01年の年間四球数は30、福留は5日現在(61試合目)で既にチームトップの38を記録している。イチローが首位打者に輝いた同年の出塁率は3割8分1厘。福留は5日時点で4割8厘と上回る。
優勝争いの厳しさを経験した中日時代、主軸でありながら、常につなぎ役の意識も持ち続けたからだろう。結果は凡退でも、打球を右方向へ飛ばし、走者を前の塁に進める打撃は、チームの得点力を陰で支える。
近年のカブスは、98年に66本塁打を放ったサミー・ソーサーに代表されるように、大味さと背中合わせの豪快さがチームカラーだった。
福留の獲得を強く希望したピネラ監督は「シーズンを通して粘り強く我慢できる打者がいれば、このチームは変わる」と予言していた。62年間、リーグ優勝から遠ざかっているカブスは今、ナ・リーグ中地区で首位を快走している。 『畑中謙一郎』
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