前代未聞、特捜主任検事が逮捕された
郵便割引制度を悪用した偽の証明書発行事件で、押収品のフロッピーディスク(FD)のデーターを改ざんしたとして、最高検は21日夜、この事件の主任を務めた大阪地検特捜部検事の前田恒彦(43)容疑者を証拠隠滅の疑いで逮捕したと発表した。また、大阪府枚方市内の前田検事の自宅を捜索した。(20100921 朝日夕刊より)
前田検事「以下、前田検事のことを『この検事』とした」は、7ヶ月も前にFDの書き換えた経緯を特捜幹部に報告していたという。最高検は、この検事のかっての上司で、この事件の捜査を指揮した大阪地検特捜部の前部長と前副部長を聴取した。
この報道を知って、このような検事が他の事件ではどのように捜査しているのだろうか、頭を廻(めぐ)らしてみた。家人に、この検事なら小沢一郎を無罪にすることだって可能だよと話した。そして新聞を読み続けていくと、この凡くらな私の想像が、図星だったのだ。この逮捕された検事が、陸山会の政治資金規正法違反事件で元秘書を取調べをしていたのだ。
小沢一郎の資金管理団体(陸山会)の大久保隆規・会計責任者兼公設第一秘書が政治資金規正法違反で逮捕された。元秘書の石川議員、元私設秘書の池田光智の二人も逮捕されたが、この資金管理団体の責任者である小沢一郎は、この事件に関ったのではないかとの疑いがもたれ、再三再四の東京地検特捜部の任意出頭に応じてきたが、立件されずに今にいたる。小沢一郎はこの取調べに対して、「不公正な国家権力、国家権力行使」と非難した。また国策による捜査とも言って抵抗している。検察審査会は、この事件が10月じゅうに強制起訴されるかの判断が下される。
検事は自分の描いたシナリオに沿って、それに都合のいい物証を集め、都合のいい証人や参考人を呼びつけて、取調べ調書を作成する。被告人に対して供述を誘導する。公判においては、検事が作成した被告の供述調書がものを言う。鬼に金棒か、金科玉条か。
今回の郵便割引制度を悪用した偽の証明書発行事件では、公判の中で検察の雑な強制捜査と無謀と思える取調べが明らかにされた。でも、明らかにされたことで幸運だったと喜んでいる場合ではない。怖い検察庁の仕業だ。
この段の文章は、20100911の朝日新聞の記事をそのまま転載させていただいた。検察の取調べに元局長の関与を認めた当時の上司や部下らは、自らの調書について「検事の作文」「検察から言われて認めた」などと説明。上村元係長は「検事に『自分の判断でやった』と言っても調書に書いてくれなかった」と涙を流して訴えた。検察幹部らによって、さらに衝撃的だったのは、取調べだけではなく、必要な裏付け捜査ができていなかったことが公判で明らかになったことだ。「凛の会」元会長が、証明書発行の「口添え」を厚労省側へ頼んだとされていた石井一・参院議員が、元会長と議員会館で面会したとされる当日、ゴルフ場にいたことが明らかにされた。この事件の決裁にかかわった在京の幹部の一人は「無から有を生んだのではない。なぜ、あんなあに捜査段階の調書と、公判での証言が違ってしまったのか、不思議で仕方がない」と強気の姿勢を崩さなかった。だが、捜査にかかわった現職幹部は「本来やるべき捜査をしなかった点は認めざるを得ない」と話した。
小沢一郎の元秘書、大久保隆規の取調べは、今回逮捕された検事が行なったが、小沢氏本人を誰が取調べたのか、その報道はないが、検察庁が立件するか?しないかは、取調べを行なった検事らのシナリオの匙(さじ)加減一つだとしたら、こんな恐ろしいことはない。社会の空気を意識して、三人の秘書は立件して、小沢氏には影響を少し及ぼす程度にして、シャンシャンと終わらせようと思えば、終わらせることができる、なんてーーーー。
今回の事件は、被告人の家宅捜査で得た証拠品にこの検事が改竄(かいざん)したのだ。今後の公判において捜査段階の供述調書の補強になると考えたのだろう、と新聞記事にあった。こんなことが実際に行なわれたのです。検察が信頼できないような事態になって、どうすれやいいんだ。嘆(なげ)かわしいノウ。
こんなことがあった後だから、今後、捜査の可視化を促す動きが増すだろう。
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郵便不正事件(20100921の朝日朝刊より)
障害者団体向けの郵便割引制度を悪用し、実体のない団体名義で企業広告が格安で大量発送された事件。大阪地検特捜部は昨年2月以降、郵便法違反容疑などで広告会社元取締役らを逮捕した。捜査の過程で、自称障害者団体を同制度の適用団体と認める偽の証明書が厚生労働省から発行されたことが発覚。特捜部は発行に関与したとして、同省元局長の村木厚子氏らを逮捕・再逮捕した。
村木氏の公判では、同氏の関与を捜査段階で認めたとされる元部下らの供述調書が大阪地裁に「検事が誘導して作成した」と判断され、村木氏は今月10日の判決で無罪を言い渡された。
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