世界同時不況は、ますます深みに陥っているように思われる。
朝日新聞の昨夜(26日)の夕刊と今朝(27日)の朝刊の記事だけでも、これだけたくさん、大ごとな記事が載っていた。最近の株式の市況からも、まだまだ経済が悪化の一途をたどっていくのでは、と思われる動きだ。
その両日の新聞記事の一部を拾い書きした。
・あの米金融大手のシティグループの普通株式36%を政府が保有することになって、シティは事実上の米政府の「公的管理」下に入った。
・ソニーの中鉢社長が退任して、ストリンガー会長兼CEO=最高経営責任者が社長も兼ね、全ての経営を主導する。09年3月には過去最大の2600億円の営業赤字が見込まれ、1万6000人の人員削減に迫られている。
・厚生労働省が発表した1月の有効求人倍率は、大幅な落ち込みで92年以来の0,67倍。昨年の10月から今年3月までに職を失った非正社員の数が10万7806人、正社員は約1万人になる。
・公的年金の積立金の市場運用で、昨年10~12月で5兆7398億円の損失が生じた、と年金積立金管理運用独立行政法人が発表した。
どの記事の内容も深刻だ。よその国のこと、よその会社のことだ、とは思えない。我社でも、規模縮小に伴うリストラを断行した。長く在籍して社業に貢献してくれた人、40年の付き合いのスタッフもいた。辞めてもっらたことには断腸の思いだった。経営者としての責任を痛感している。できるものなら、できるだけ早く再雇用をしたい、と思っている。
そんな暗い気分で新聞を読んでいたら、ちょっとだけ元気の出てくる記事に出くわしたのだ。そうだ!!、そらそうだ、経済は必ず回復するんだ、と文章では理解はできても、ド頭(たま)ではまだまだ納得できないのですが、ここは冷静にこの記事を読んで、今日も、元気に頑張ろうではありませんか。
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20090228
朝日朝刊
回復への備え
経済・経済気象台
樹
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日本の主力産業である自動車や家電、電子部品に関連する企業の生産ラインは、現在、おしなべて50%程度の低い稼働率にとどまっている。米国の金融危機は世界各地に飛び火し、同時不況へと突入。時がたつにつれて悪化している。消費の減退は工場の稼働率低下を招き、設備投資の意欲をなえさせる。企業活動は、守りの姿勢になった。
だんだんと深まる不況感は、市場における急速な在庫整理と、生産現場における人員整理の結果だ。しかし、在庫整理を中心とした生産調整も、3~4月で底をうち、やがて緩やかに回復へ向かうはずだ。稼働率は最盛期の80%程度といったところだろうが、世界同時不況といえども必ず回復する。
なぜなら、衣食住や家電、自動車には買換え需要というものがあるからだ。さらに米国や中国のような国々は、今後も人口増や経済成長に伴って市場が拡大する。世界の潜在的な需要を背景に、景気は回復するだろう。そして、回復と同時に厳しい企業間競争が幕を開ける。新しい技術やビジネスモデルを競い合う。
目先の不況に目を奪われ、じっと景気回復を待っているだけでは、不況の沼からの脱出は難しい。世界中の企業が同時に不況の沼に沈んだが、抜け出すときまで一緒とは限らない。
オバマ米大統領はグリーン・ニューディール政策を掲げた。省エネ、省資源、地球環境の改善。この三つは、景気回復期に企業を復活させる推進エンジンのキーワードだ。不況は現在進行形だが、いまは次に備える大切な時期。それなのに、日本の政治はどうか。不況対策は絵に描いた餅。失った10年を繰り返すつもりなのか。
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