1年程前から、新聞の神奈川版にちょこちょこ記事になりだした「受動喫煙」の文字が、当初私には余り馴染みがなく、どうしても関心が向かなかった。でも、そのうちに、段々新聞に登場する頻度が増えてきて、知らん振(ぷ)りはもうできなくなってきた。「受動は能動の反対」だよな、ということは受動喫煙とは、喫煙させられているということになる。受動喫煙は間接喫煙のことだ、と日本語大辞典(講談社)。煙草の煙を気がつかないうちに、吸わされていることを防止しよう、という条例らしいぞ、と知ってからの嫌煙大魔王の私は、県議会のこの条例の進捗が異常に気になり出し、推移を見守っていた。
いい条例だ。必ず完璧に仕上げてもらいたい、と言い出しっぺの松沢知事を応援していた。
そして今月18日、神奈川県議会の厚生常任委員会で、「公共的施設における受動喫煙防止条例」案を可決した。24日、県議会で可決した。全面禁止を打ち出して、県は2年前から県議会は昨年4月から、歩調を合わせながら討議、審議をスタートしていた。反対意見が相次ぎ、譲歩に譲歩を重ねながらの修正合意案を、全会一致で可決した。各論が飛び交ったことだろう。時には罵声も発せられたことだろう。意気消沈したり、諦めかかった議員もいただろう。100年に一度の大不況のこのときに、金のかかるようなことをする必要なんかないだろう、と言った議員もいた。反対派は、たばこ業界や中小の飲食店、遊技業界、風営法の対象施設、ホテル・旅館などの宿泊施設の関係者で一斉に反発した。健康や医療、保険に健康増進法を重点的に考える推進派にとっては、後退させられたとか、骨抜きになってしまった、と失望の声があがった。最終的には、妥協もあったろうが、全会一致で可決したのだ。よくぞここまでまとめられたものだ。この条例が成立した意味は大きい。画期的だ。神奈川県の松沢成文知事の「政治生命をかける」とまで意気込んだ、その気概が成果につながったように思う。
可決後、知事は、ニクイことも仰るのです。「県民の健康を守るための一歩を踏み出せた」と。愛煙家、狂(凶)煙家、猛煙家、ヘビースモーカー、チェーンスモーカーの皆さん、松沢知事の優しい心に応えなくっちゃ、アカンぞ。罰(ばち)があたりまっせ。私の愛する友人たちヨ、喫煙を断(た)てなくても、吸う本数を減らしてはいかがですか。
ここで、私の意見(本音)。修正合意案は、私には物足りない。人間が二人以上集まる場では、喫煙は許されないようにしたいものだ。
受動喫煙を防止しようとする条例が、日本で最初に成立したことは、国民、私にとっても、まことに目出度いことだと感謝している。元来、国が率先して取り組むべき課題だった。遅ればせながら、国でも取り組みを進めて欲しいものだ。他の地方自治体でも、討議していただきたい。
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★可決された修正合意案の内容
①対象施設
・禁煙=学校、病院、官公庁施設、公共交通機関、百貨店、金融機関など。 施設内に喫煙所を設けること。
・禁煙か分煙かを選べる=ホテル・旅館(床面積計700平方メートル超)、飲食店(調理場を除く床面積計100平方メートル超)、カラオケボックス
・禁煙か分煙かを努力義務=ホテル・旅館(床面積計700平方メートル以下)、飲食店(調理場を除く床面積計100平方メートル以下)、キャバレー・パチンコ店・マージャン店・カフェなどの風営法対象施設
②罰則適用
・個人は2千円、施設管理者は2万円の過料
・「禁煙」対象施設は施行と同時。「禁煙か分煙」対象施設は施行から1年間延期
③施行日
・2010年4月1日
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