2010年1月17日日曜日

性同一性障害夫婦の「非嫡出子」

性同一性障害で女性から男性に戸籍上の性別を変えた夫が、第三者の精子を使って、妻との間に人工授精でもうけた子を法務省が「嫡出子」として認めなかった。このことを報じた新聞記事が、朝日新聞でも第一面で扱われていて、私も、こりゃどういうことだ? 何を法務省はヌかしているんだ!! と腑に落ちない気分でいた。

以前から性同一性障害のない健常な夫婦においては、第三者の精子を貰い受けた妻が産んだ子どもは、嫡出子と認められてきた。

法務省は、このような事例「性同一性障害の非嫡出子問題」は全国で6件あるが、「生物学的な父子関係がないのは明らか」として、嫡出子と認めない見解を示してきた、と新聞記事にあったが、生物学的な父子関係っていったい、どういうことなんだろう。

今回の法務省の判断に、性同一性障害者の団体からは、障害をもつ者に対する差別だと、法の下の平等に反するものだと猛烈な抗議が法務省に寄せられた。私の脳波も、この手の問題には、過剰に反応するのです。こりゃ差別ではないか、と直感で激怒した。

そして、数日(2~3日)後、千葉景子法務相は、今までの法務省の認定を見直す方針を明らかにした。

私は、この段になるまで放置しておいた法務省は批判されて当然だが、まあ、報道されてからと言えども、即、反応した千葉法相を認めたい。見直しのあり方には、「運用でできるか、解釈で可能か、法的措置が必要なのかも含めて検討しなければならない」と話した。

別件ですが、千葉法相には死刑執行の判こを押さないで欲しい。

私は、死刑執行廃止派なのです。

もう一つ別件ですがーーーー。

私は、保土ヶ谷区の権太坂に約30年前から住んでいるのです。ここは、神奈川選挙区。千葉景子法務相は、1986年、日本社会党から立候補して初当選した。私の住んでいる界隈で、選挙の度に建てられる立候補者のポスター掲示板でお会いする顔馴染みの政治家さんだ。今でこそ法務大臣ですからテレビや新聞でよくお見かけするのですが、それまでは、選挙用ポスターでしか知らなかった。私の息子が小学生だった頃、友達たちとその並んだ立候補者のポスターの一人ひとりに、この人には悪(あく)がある、この人には悪がないとか言って、遊んでいたのです。私が日頃、茶の間で政治家の悪口を言っているのを聞いて、知らず知らずのうちに、政治家を悪い奴と悪くない奴とに区別することを覚えてしまったようです。このことは、良かったことなのか、良くなかったことなのか。

千葉法相のことは、私の息子からはいつも高得点でした。「在日韓国人政治犯釈放署名」にて汚点があったにせよ、少年法の厳罰化反対、従軍慰安婦問題での取り組み、夫婦別姓制度推進、死刑廃止運動、永住外国人住民の法的地位向上推進、などの活動を私は頼もしく思っている。

だが、千葉法相が所属する民主党の幹事長が、自分の政治資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で元秘書3人が逮捕され、東京地検からの任意の事情聴取に、忙しいからとか、囲碁とか、カラオケとか、理由にならない理由で応じていない。この強面(こわもて)幹事長に、いいかげんにして、検察庁に行きなさい、と発破をかけてくださいな。逮捕された3人の中には、現職の国会議員も含まれているのです。

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早速朝日新聞は反応した、社説でこの上の件を取り上げたのです。

20100114

朝日朝刊・社説

性同一性障害/千葉法相の妥当な判断

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結婚している男女が、第三者の精子を使って人工授精で子をもうけたら一般的には嫡出子だが、性同一性障害のため性を変えた夫と妻の場合は非嫡出子とする。こうした法務省の認定に、兵庫県宍粟(しそう)市に住む夫と妻は納得がいかなかった。

夫婦の強い思いを知った千葉景子法相は、現行の扱いを改善し、そうした子を夫婦の嫡出子として認める方向で検討することを表明した。

法相の判断を高く評価したい。

心と体の性が一致しない性同一性障害の人たちが、望む性別を社会的に選べるようにと2004年、性同一性障害特例法が施行された。

夫は手術を受け、特例法に基づいて戸籍上も男性となった。妻と法律上の婚姻関係を結んだ。

だが、第三者から精子提供を受けて妻が人工授精で産んだ子を、嫡出子として届けようとして待ったがかかった。夫がもとは女性なので、「遺伝的に父子関係がないのは明らか」として法務省が認めなかった。同様の例が特例法施行以来5件あるという。

法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた子を嫡出子と呼ぶ。その例外とされたわけだ。

第三者の精子を使い人工授精で子をもうける夫婦は年100件以上。無精子症など夫側が原因の不妊症の治療として日本では60年前から行われ、1万人以上の子が生まれたという。

夫婦の間にできたこれらの子は通常、嫡出子として出生届けが受け付けられている。

特例法は、性を変更した後は新たな性別で民法の適用を受けるとしている。親子関係について差別を受けるのは不合理だ。法相もそうした判断したのだろう。

障壁を乗り越えて心と社会的性別を一致させ、結婚した夫と妻が子どもを持ちたいと思うのは自然だ。性同一性障害で戸籍上の性を変えた男女は1400人以上いる。

同じ障害に悩む人はさらに多い。これからも宍粟市の事例のような夫婦は増えるだろう。

千葉法相が示した見直しの表現には運用の変更、法改正などいくつか方策があろう。早急に詰め、他の5例についても調査し、救済してほしい。

法務省が性同一性障害の夫を別扱いしようとしたのは、民法が子どもは生来の男女の自然生殖で生まれるものだという前提に立っているからだ。だが現実には、民法が制定された明治には想定されなかったような状況で生まれる子が増えている。

医療の進歩によって、これまで子どもを持てなかったようなカップルが子どもを持てる時代になった。それによりそった法律の考え方がもっと論じられていい。

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