国会での党首討論のなかで、鳩山首相は谷垣自民党総裁から普天間移設問題を追及され、挙句の果てに、私には腹案があるのです、なんて言ってしまった。おいおい、こんなところで、よくもそんな大胆な発言をしてくれたわい、無理しちゃってと思った。本当に腹案なんてあるのなら、5月末決着に職を賭して取り組むなんて言っているんだから、さっさっと閣僚や政府高官らを動かせばいいのに、全くその動きは見えない。5月決着を本気で考えているのなら、今頃は地元の首長、米軍、政府や防衛省、外務省、国交省の関係者が、ヤイノヤイノの打ち合わせが頻繁に行なわれていて、茨の道、針千本、気が遠くなるほど問題点が待ち受けていて、それを乗り越えていかなければならない。だが、そんな雰囲気は、どこにもない。
15日の夜のCS放送番組で、社民党の阿部知子政審会長は「総理の腹案なら総理自ら(調整に)乗り出すべきだ。私どもは(腹案を)聞いていない」と指摘した。
それから気になる発言もしているのです。移転先問題では、「地元よりもまず、米国に理解されるかどうか、水面下でやり取りしなければならない」など、迷走の責任を米側に押し付けるかのような発言もあり覚悟の軽さばかりが目立った、とこれは日経新聞の記事だ。
一事が万事。この首相はこんなちゃらんぽらんなことしか、言えないし、指導力も決断力も乏しいのだ。
22日、東京地裁は首相の実母からの資金を、パーティーの収入などに水増しをして隠蔽した、そのような虚偽記載で公設秘書は政治資金規正法違反で有罪判決が言い渡された。母親から自分が代表を務める資金管理団体に、月に1500万円もの「子ども手当て」?を5、6年も貰っていたのに、そのようなことは知らなかったと断言した。そして、その資金がどのように使われたのかも知らない、とヌかす。国民は、今、特に政治とカネの問題には繊細に微妙に、執拗に強く反応し続ける。当初、逮捕された秘書の裁判が結審すれば、皆様に説明しますと言っていたけれど、その意志も希薄になってきたようだ。裁判が終了すれば、裁判に使われた資料は全て戻ってくるので、その資料での説明はいとも簡単なことだ。
どこまでこの首相は能天気なのだろう。周りに居たのは支持者だったから、気を許したのか、この政治とカネの問題について、「来週あたりにようやくすべてが決着する」なんて述べてる。この認識は、どういうことだ。この問題を深くも重くも考えていない証左だ。
こんなちゃらんぽらんな首相に、国家の舵取りを任せるわけにはいきません。フラフラ、ブレっ放し、場当たり的、夢遊病者のようだ。
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政策決定の内閣への一元化と決めているが、高速新料金問題でもブレ過ぎや。このブレを新聞記事で時系列に追ってみた。
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21日、来る参院選挙対策用に小沢幹事長が、政府・民主党首脳会議で、9日に前原国交相が発表した高速道路の新料金の見直しを求めた。
前日の19日の夜には、首相は記者団に「前原大臣の考え方をベースに当然議論されると思っている」なんて言っていた。
先の衆院選挙では、マヌフエストの最重要項目に、この高速道路の無料化と子ども手当てだった。
この9日に国交省が発表した新料金案は、元々は小沢幹事長ら民主党の強い要望で実現したものだった。党が高速道路整備のための財源を確保して道路を作ること、選挙対策の一環だ。ところが、ここにきて急転、小沢幹事長が高速道路の無料化をマニフェストに掲げて衆院選を勝ってきたのだから、その新料金は無料ではなくて、値上げになってしまうので国民の理解が得られない、と主張し出した。選挙対策だ。
前原国交相が出席していないこの政府・民主党首脳会議で、小沢幹事長の申し入れを政府は受け入れ、見直しが決められた。
前原国交相は即反応した、この案は首相も平野官房長官も了承済みなので、見直す気はありませんと明言。
22日、朝、首相は記者団に「政府が引き取って、この問題を見直す」と、ここで軌道修正しだした。
22日、昼、首相と平野官房長官と前原国交相は会談のうえ、①新料金案は現時点では見直さない②料金割引財源を高速道路建設に回す法案は速やかに成立を目指す③新料金のあり方は国会審議を踏まえ、国交省で総合的に検討する。
政策は内閣で一元化することになっている、のに。政府は、党の小沢幹事長にきりきり舞いをさせられている感はゆがめない。
ーーーと言う具合に、何をやっちょるんジャと歯軋りする思いだ。
すべて、こんな調子だ。困ったもんだ。
(★朝日新聞の記事を参考にして文章にしました)
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20100421
朝日・朝刊
ザ・コラム/普天移設
四面楚歌、首相の勝負どころ
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風が吹く、死界がひらけ、眼下に一面の海が広がる。透明な水をたたえる遠浅の向こうには、エメラルドグリーンの内海。その先に群青の沖が続く。石灰岩の石積みで知られる沖縄本島中部の勝連城跡。小高い丘から見下ろす海は、先月。普天間基地の移転先の一つとして報じられた水域だ。
東海岸の勝連沖に浮かぶ浜比嘉島の東を埋め立て、巨大な人工島を造る。普天間のヘリ部隊を鹿児島県の徳之島や、沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ陸上部に暫定的に移し、将来はその人工島に多くの基地を集約するという案だ、
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その「勝連案」が報じられてから、地元では、さざなみのように不安や疑念が広がる。
「土木業者の利益誘導に乗せられ、地元の意向も問わずに図面をかく。あんまりだ」
予定水域のすぐ目の前で民宿を営む浜比嘉島の区長、平識勇氏(63)は憤る。沖合いは県内有数のモズクの産地。水が澄んで栄養価も高く、タコやウニがよく取れる。しかもこの島は、沖縄の創世神が住んだと伝えられる聖地の一つだ。
先月、基地計画に反対する市民協議会をつくった崎原盛秀事務局長(76)はこういう。
「沖縄は海の恵みで生きている。沖縄戦で本島中部の県民は、日本軍が駐留していないこの島に逃れ、漁民が取ってきた魚を分かち合って生き延びた。今も、多くの人々が副業で、海草やタコをとって生活の糧にしている。いつも弱い方、弱い方へと基地を押し付けるこんなやり方が、許されるだろうか」
いま沖縄では、今月25日に開かれる県民大会に関心が高まっている。超党派で「県外・国外移設」を訴える大会では、多くの自治体の首長が実行委員長を務める。
「勝連案」の地元・うるま市の島袋俊夫市長もその一人だ。
「政府からの感触、打診、説明は一切ない。勝連案を断念したとの報道もあるが、出どころが定かでなく、気が抜けない」
自公政権が進めた辺野古への移設に反対し、今年1月に当選した稲嶺進名護市長も、15日、実行委員会を作った。地元への打診はまったくないという。
「名護市は海も陸も、基地を受け入れない。与党は、県民の総意が『最低でも県外』にあると知っているはず。しっかりその根拠に立てば、名護に戻るなどという話にはならない」
昨年の政権交代で、沖縄では「県外移設」への期待が急速に高まった。閣僚がばらばらに「県内移設」や「現行案」に言及したが、鳩山由紀夫首相は「沖縄の負担軽減」を唱え、先月末の党首討論では「腹案」があると言い、「5月末決着」を約束した。しかし、断片的に報じられる県内移設案がその「腹案」だとしたら、沖縄ではとうてい受け入れられないだろう。
「鳩山首相は『最低でも県外』といってきた。沖縄の基地を縮小する。今ある施設を使う。金を出してでも国外に出す。その組み合わせしかない。もし県内施設だったら、内閣打倒の声があがる」と民主党沖縄県連代表の嘉納昌吉参院議員はいう。
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鳩山首相は、どこでボタンをかけ違えたのだろうか。
1997年末に名護市長が移設受け入れを表明した際、橋本龍太郎首相の補佐官として地元を説得した岡本行夫氏はいう。
「当時は数ヶ月、地元に入って酒を酌み交わし、人々と語り合った。当時の防衛施設庁の人々も、一升瓶を下げて地べたをはって説得した。基地問題は、地元・米側と対話し、双方のすり合わせをするのが基本だ。『政治主導』をいうのはいいが、役人を使って必死に動く努力を怠っているのではないか」
橋本首相と17回会談し、個人的な信頼関係を築いた大田昌秀元知事はこういう。
「勝連案は過去に検討し、実現不能とわかった。シュワブ陸上案も過去に米軍が拒否した。本当にこの13年から学んだろうか。もし政府と沖縄が信頼しあえなければ、沖縄人と米軍が直接対決してしまう。それはどうしても避けるべきだ」
徳之島でも18日、移設反対の大集会が開かれ、鳩山首相は「四面楚歌」の状態だ。だが日増しに辞任要求の圧力が強まるなか、意外にも沖縄では「5月末決着」が実現しない場合、「即辞任」を求める声は少ない。
「戦後65年、普天間返還が決まって13年。沖縄は待ち続けた。もし首相が沖縄に本気で寄り添い、負担軽減でとことんがんばると分れば、沖縄は待つ。それが今の沖縄の民意だろう」と、上里賢一琉球大名誉教授は指摘する。
日本総研の寺島実郎会長は今月、訪米直前の鳩山首相から電話を受けた。30分の会話で、寺島氏は「腹をくくって対米交渉に向き合う」よう助言した。
「ジグソーパズルの小片を震える指先で握り、はめ込み先を探すようなやり方では、基地問題は解決しない。米軍基地の管理権を日本に移し、東アジアに空白を生まずに基地縮小に踏み出すなど、10年単位の取り組みが必要だ。本気で対米交渉をし、日本に真の信頼関係を築く。その決意を示せるかどうかが本当の勝負どころではないか」
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