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(081020)
朝日夕刊
窓/論説委員室から
その①地の塩
〈三浦俊章〉
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30年経った外交文書は原則、国民に公開する。民主主義のバロメーターと言われる「30年ルール」が日本で始まったのは、そう古いことではない。
米英では早くから確立されたが、日本では一向にその気配がなかった。現代史を書く者は外国の資料に頼らざるをえないという不正常が続いていた。学会や言論界の強い要望を受けて決断したのが、後に首相になる故大平正芳だった。
田中内閣の外相だった73年に国会で公約し、3年後に実施された。大平に直談判した歴史家の故萩原延壽が、後にこう回想している。
「太平さんは日本を国際社会の中に連れ出し、尊敬される一員たらしめるにはどうしたらいいのかを、たえず模索していた」「こういう地の塩のような仕事をする人だった」(「萩原延壽集第7巻」)
「地の塩」とは聖書の言葉で、世の腐敗を防ぐ役割を担う人を指す。クリスチャン大平にふさわしい賛辞だろう。
さて、その精神を受け継いでいるはずの外務省だが、先日、沖縄密約の情報公開請求に対して、「不開示」と回答した。その文書は存在しないというのだ。
沖縄返還に伴い米側負担を肩代わりした密約は、米側文書が公開され、当時の外務省幹部も事実を認めている。
それでも、文書はないと白(しら)を切る。あれだけ大切だと力説する日米関係だ。先方との約束を紛失したはずはあるまい。これは、国民への責任を放棄した組織防衛以外の何ものでもない
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(081020)
朝日朝刊
国際柔道連盟
その②欧州主導の流れ加速/日本の影響力低下
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ランキング制の導入は、有力選手の大会への登場回数を増やす。実力がほぼ正確に反映される制度でもある。五輪出場権をかけたポイント争いは、国際大会の盛り上がりにつながりそうだ。
ただ、日本にとっては不利な面もある。欧州での大会が多く、移動は大きな負担だ。海外ではプロ化が進んでいるが、企業や大学に所属するのが大半の日本選手は国内の実業団や学生の大会もあり、過密日程に苦しむことになる。
「効果」の廃止は一本を目指す日本柔道にとって、有利かもしれない。だが、北京五輪の結果を見ても、敗れた日本選手の多くは力負け。大幅な成績向上までは期待できないだろう。
IJFにおける日本の影響力は低下傾向にある。会長職は87年以降、日本人以外が務め続けている。昨年の理事選では日本の切り札とも言える山下泰裕氏がアルジェリアのモハメド・メリジャ氏に61-123の大差で敗れた。
カラー柔道着の導入や今回のランキング制度など、欧州主導の改革が実施される流れは加速するばかりだ。柔道専門誌「近代柔道」の桐生邦雄編集長は「〈会長権限強化の改革案では〉会長には政治力、財政力、国際的な人脈が必要で、日本から候補者をたてることすら厳しい。柔道の理念だけを打つ出して何でも反対する姿勢は通用しない。今後は欧州主導の路線に沿いながら、現実的に話し合っていくしかない」と話した。
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(081010)
朝日朝刊・スポーツ
その③WBC監督問題/イチローが一石
最強チーム作るのに「現役監督排除」なぜ?
(共同)
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野球の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表監督選出問題について、マリナーズのイチロー外野手が18日、現状について初めて言及。「最強のチームを作ると言う一方で現役監督から選ぶのは難しいでは、本気で最強のチームを作ろうとしているとは思えない」と指摘した。
日本は06年の前回大会で世界一に輝いた。「もう一度、本気で世界一を奪いにいく。WBC日本代表のユニホームを着ることが最高の栄誉であるとみんなが思える大会に自分たちで育てていく」と話した。
「大切なのは足並みをそろえること。(惨敗の)北京の流れから(WBC)リベンジの場ととらえている空気があるとしたら、足並みをそろえることなど不可能でしょう」
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(081024)
朝日朝刊
キーワード
その④ブラッドリー効果/ワイルダー効果
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世論調査で黒人候補の支持率が白人候補を上回っても、選挙本番で差が縮まるか逆転される現象。人種差別と見なされるのを避け、白人有権者が本音を言わないことが理由とされる。82年のカリフォルニア州知事選で、世論調査では白人候補に10ポイント近く差をつけていたトム・ブラッドリー元ロサンゼルス市長が小差で破れ、ブラッドリー効果の名がついた。89年のバージニア州知事選でも世論調査で大差をつけていたダグラス・ワイルダー氏が0,4ポイント差で辛勝し、ワイルダー効果とも呼ばれるようになった。
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