国会議員の月割り歳費のことだ。
この稿は、自宅のPCで作成したのですが、PCのどこかに不具合が発生して、投稿できなかったのです。そんなことで、内容がタイムリーでないのが心苦しい。
先の衆院選で政権交代した。その熱気の陰で、話題をさらったのが議員歳費の月割り給付だった。昨年8月30日に当選した議員が、わずか2日しか在任しないのに、1か月分の歳費が丸々支払われた。議員さんよ、あんたら、盗っ人猛々しいぞ、と怒っているんです。民間企業では絶対ありえないことだ。
地方議会では日割り歳費が常識になっている。地方議会の方が市民により近い存在だから、その変更は急がされたのだろう。大阪府議会は歴史が古い。1965年に導入されたと朝日新聞の朝刊(20100731)で知った。商売の都、大阪の商人(あきんど)の視線は、どこの地域よりも厳しかったのだろう。福島県矢祭町では、議員の給料を日当にしている。
国会議員の歳費には、なんの手も打たないまま、ここに至った。そして今回の参院選でも同じ問題が、当然ながら起こっている。選挙が終わって、1ヶ月ほどしてみんなの党が、この臨時国会で、法改正しようと主張しだした。民主党は、この件をこの参院選のマニフェストに掲げながら、党内抗争に明き暮れ、あげく時間がないとか言っちゃって、自民党は正式の手続きを経て取り組みたいとか言っちゃって、言っちゃって言っちゃって、この二党には本気でこの問題に取り組もうとしていない。
渡辺喜美代表のみんなの党は大きな声で他党を挑発した。新聞もこの問題がいかに不合理かを酷評した。テレビなどは、視聴者にとって、一番喜ばれる材料とばかりに連日報道した。関西のある大都市の若手の知事さんは、これは泥棒ですよ、とまで言っていた。
そして日は経っていく。
民主党と自民党は7月分を日割りにして、一部を自主返納できるような国会議員歳費法を改正する方針でいると聞く。ところが、今日(29日)の新聞を読んで、開いた口が塞がらない。先に民主党代表選に菅直人の対抗馬として立候補した小沢側の樽床伸二国対委員長は27日、記者団に「野党の中心的な3党で意見をまとめて頂いて、テーブルにつくことについてはやぶさかではない」と述べ、政権党として主導権をとる姿勢を見せなかった、などと報道されていた。政治資金規正法に絡む疑惑だらけのおめえの小沢親分は、月割りはおかしいと明言している。この問題は、国会審議に時間を要する問題でもない。得意の政治主導という鬼?に金棒?でも、国会議員は誰も反対できないだろう、それほど世論は熟成している。こんなことでは、民主党も先がない。
この辺の問題を市民感覚で取り組まないと、いつまで経っても、政治は国民からの支持が得られない。こんな当たり前のことを、どの党が最初に気付くのでしょうかね。
梅雨が明けたというのに、スッキリしませんなあ。強いリーダー、ブレないリーダーの出現を待つ。今まではボケっとしていた政治家さんだって、今からでも剥(む)きになって大変身「変心」していただいても結構ですゾ。
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20100730
朝日・朝刊
天声人語
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中国の明代の『菜根譚(さいこんたん)』は語録風の随筆で、本国よりむしろ日本でよく読まれた。その中に「衣冠の盗(いかんのとう)」という言葉が出てくる。衣冠とは官職につく者をさしていて、平たく言えば「給料泥棒」の意味である。
難関で鳴る科挙に晴れて受かり、あとは役得にどっぷり漬かる者が多かったのかもしれない。失礼ながら、この話を、国会議員の「月割り歳費」の問題で思い出した。先の参院選で当選した新議員は7月の在任が6日しかない。なのに満額の230万円が支払われる。
お手盛りの大盤振る舞いと見られても仕方あるまい。去年の衆院選では8月30日に当選した議員が、たった2日で全額もらった。批判がわいたが、足元を清める動きは鈍く、政権交代の熱にかき消えた。そして今回、またぞろである。
浮世離れした厚遇は新議員を勘違いさせかねない。だが結局、この国会では「日割り」への法改正とはいかず、自主返納という形を整えるそうだ。かえって気の毒ではないか。同期当選の仲間をうかがいつつ、踏み絵を踏まされるような気分だろう。
仙石官房長官がこのあいだ「引き下げデモクラシー」なる言葉を使っていた。恵まれた立場の人を引きずり下ろして溜飲を下げる。低級な民主主義のことだ。むやみなパッシングは不毛だが、この問題への批判はしごく真っ当な庶民感覚だろう。
『菜根譚』は給料泥棒たる「衣冠の盗」を「民衆を思い愛さない者」と定義している。きょう初登院する新人は55人。その本来の意味で、ドロボーとは無縁であってほしいと願う。
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