賃貸住宅の更新料の支払いを義務付けた特約は、消費者契約法に違反して、無効だという判決が、090723に京都地裁で下されたことを新聞(090724の日経)報道で知った。この新聞記事を材に使って文章を綴っている。
我々不動産業界で働く者にとって、やはりこの報道はよく理解しておかなくてはと思った。今回は無効との判断だったが、以前には有効との判決が出ていることを知っていたので、どうしても関心を抱かざるを得ない。地裁によって、判断が異なるようでは困る。別件の同種訴訟では高裁まで審理を進めていると聞く。早く司法における最終ジャッジを望む。
私の周辺でも、慣行として一時金としての収入に見込んでいる家主が多い。不動産業者の方も、更新料を受け取ることを前提に業務しているようです。不動産屋は、更新料の一部から契約更新手続きの事務手数料等を頂くことになっているようだ。
消費者契約法は、消費者と事業者間の契約に関しての取り決めなので、消費者間、事業者間同士では、この法律に影響受けることはないはずなのです。ならば、物件ごとに、この法律に関わるのか関わらないのかの明示も必要になるだろう。
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以下は新聞記事のまま。
賃貸住宅「更新料」は無効
京都地裁の初の判断=「賃料の一部といえず」
京都市のマンション入居者が貸主側に約11万円の返還を求めた訴訟の判決で、京都地裁は23日「入居者の利益を一方的に害する特約で無効」と判断、全額返還を命じた。特約そのものを消費者契約法上無効とする判断は初めて。「入居後2年で賃料2か月分」などの更新料特約は、首都圏などで慣行化し対象物件は全国で100万件以上とされる。貸主側が賃料の補充や修繕費の一部に充てているケースも多い。同種訴訟では昨年1月の京都地裁判決が原告敗訴を言い渡しおり(大阪高裁で係争中)、今後の司法判断の行方が不動産業界の動きに影響を与えそうだ。
辻本利雄裁判長は判決理由で「更新料は更新後に実際にマンションを使用した期間の長さにかかわらず支払わなければならず、使用期間の対価である賃料の一部といえない」と指摘し、更新料の必要性に合理的根拠がないと判断。
さらに「入居者が契約書で特約の存在を知っていても、その趣旨を明確に説明し、合意を得ない限り、利益を一方的に害することになる」と指摘。特約そのものが無効だと結論付けた。
貸主側は訴訟で「更新料は、貸す側が更新を拒絶する権利を放棄する対価や家賃の補充として合理性があり、特約は有効と主張していた。
国土交通省が2007年に実施した調査によると、更新料を徴収している業者は神奈川、千葉、東京、埼玉で90~60%。今回訴訟の舞台となった京都では55%。大阪、兵庫ではゼロなど地域差が大きい。
★消費者契約法を、六法全書よりその第一章総則、第1条の「目的」をここに書き出してみた。
この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに、交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により、消費者が誤認し、又は困惑した場合について、契約の申し込み、又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部、又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。ここまで第1条全文。
2001年4月に施行された。
消費者の利益を不当に侵害する契約を無効とし、あらゆる契約に適用される。大学などの入学前納金や賃貸住宅の敷金などの返還請求訴訟でも適用され、返還を命じる判決が相次いでいる。
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