昨日、川崎市宮前区菅生に中古住宅の調査に行った。その物件の所有者と専任媒介契約をしている大手電鉄系の不動産仲介会社の担当者が、待ち合わせ時間に遅れるというので、私は周辺を散歩した。仕事柄、周辺の住宅街の環境とか地勢は知らず知らずのうちに、チェックしている。もうこれあ、職業病だ。
まだ、来ないなあと思いつつ、駐車場縁(ふち)の斜面になっている草むらや、路傍の草を眺めていた。毎度御馴染みのタンポポを見つけると、必ずと言っていいほど、衝動が起こるのです。タンポポの茎を3センチぐらいに輪切りにして、その片方の端を唇と歯で少し柔らかくして、そこを震わせるように息を吹く、そしてピーとかプーとか音を出した。いい音が出ると、その衝動は静かに治まるのです。
一緒に居た秋田出身の坂さんが、ヤマオカさんがそんなことしたら、俺だって黙ってはおれんなあと草のなかから単子葉をむしり取って、草笛にして鳴らした。彼も、田舎での子どもだった頃を思い出していたのだろう。彼のやり方は、両の手を丸く合わせ、両手の親指で葉の一方を縦にして挟み、親指の根元の部分で葉のもう一方の端を押さえて、ピーンと張られた葉に息を吹きかけて葉を震わせるのです。見事な音声だ。
そんなことをしていても、まだ担当者は来ない。
草むらを丁寧に観察した。草は初夏を前に勢いを増している。どの草も名前は知らないが、今まで見たことのある草ばかりだと、思いきや、ところがどっこい、私にとって初めて見る草があったのです。細い茎に、その花穂がまるで稲穂のように垂れている、その仕草がとても愛嬌あるように思えて、見つけたことが嬉しかった。
仕事仲間の秋田県人は、その草の名を知っていた。「コバンソウ」ですよ、細い糸のような茎に実が垂れているのが、可愛いいんだ!!とヌカスではないか。形が小判に似ているので、そのような名になったそうだ。田舎育ちでは、彼には一歩も引けを取らないのですが、この草の名を瞬間に言い当てられ、この勝負、鮮やかに一本とられた。私の田舎にも、この草はあったのだろうか。花穂の形から、この名前を一度憶えたら、きっと忘れないだろう。
ネットからの知恵によると、いね科の植物で、ヨーロッパ地中海沿岸が原産地で日本へは明治時代に園芸用として渡来したようだ。一年草です。見た目には、稲よりも小麦に近い。
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