今日、20100620(日)は、父の日だ。昨日、友人の仕事の関係で豆腐屋さんに寄った。この豆腐屋さんは、お年を召したご夫婦だけでやっておられた。表情は明るく、動きも快活だ。友人はご主人さんと仕事の話をしていた。私は、奥さんから我が家と子ども達の3所帯分の豆腐を買った。豆腐4丁分のお金を払ったら、奥さんは油揚げ8枚を只でくださった。
私は東戸塚の駅前にそれぞれ所帯を持っている、長女と長男の家にその豆腐と油揚げを届けた。長男の嫁からは、一日早いのですがと言って、父の日プレゼントをくれた。私は、長男の嫁から、プレゼントをもらったことが、とても恥ずかしかった。品は芋麹本格芋焼酎『一刻者』だった。製造は鹿児島県の小牧醸造株式会社、販売元は京都市伏見区の宝酒造だ。伏見の清酒「松竹梅」で、私には毎度お馴染みの宝酒造だ。『いっこくもの』とは、南九州での話し言葉で、頑固者のことを言うらしい。一般的には、焼酎には米麹が使われるのですが、研究の結果、芋麹だけで作り挙げることが出来たらしい。この焼酎を企画した奴も、商品化にかかわった奴たちも、一刻者だったのだろう。自宅では、もっぱら「きいちこ」だ。たまに居酒屋では、一刻者を飲んだことはあるけれど、嬉しい限りだ。あの息子が、よく気が付いたもんだワイと思った瞬間、これはアイツの奥さんの配慮だ、アイツにそんな気の利いた仕業ができるのだろうか。とりあえず、貰ったことは嬉しいことだ、それも自分のお金では決して買おうとしない銘柄だ。
そして、産後日が経っていない長女に電話して、夫に豆腐1丁分を入れるビニール袋を持って下りて来て欲しいと頼んだ。彼女達は、高層マンションの上層の何階かに住んでいるのです。長女の夫は、豆腐10丁分でも入る大きな容器を持ってきたが、がっかりもせず、喜んで受けてくれた。
我が家の道路向かいに住んでいる二女にも、豆腐を届けて、我が家に着いた。二女の子ども、私にとって目に入れても痛くない孫が、ワールドカップの日本とオランダの試合をジジイの家で観てもいいか、と尋ねられた。ああ、いいよ、ジジイは待ってるよ、と言って終着駅ならぬ自宅に着いた。孫は、日本代表のユニホームを少しアレンジしたパジャマを着てやってきた。私は、今日一日着ていたジャパンブルーのユニホームを、風呂上り、再び身に着けた。
豆腐をリビングのテーブルに置いた。そこで、気付いたのですが、そこに父の日プレゼントが、山とは言えぬが、どっさり積み重ねられていた。
女房、長女、三女でラガーシャツ。アメリカのブランド品だ。製造は中国かもしれないが、がっちりした生地に、がっちりした縫製。私は、普段着る服にはどこまでも無頓着なのですが、このようなウェアーなら柄、色を問わず喜ぶことを彼女達はよく知っているのだ。家人と長女は、横浜美術館で開かれていたポンペイ展に行った際、買いましたとのことだった。長女の出産を前に二人は、気晴らしに行ったらしい。
筋向いの二女からは、冷酒2本だ。瓶には、1本には何故か孫の名前と、我輩の名前が書かれたレッテルが貼られていた。もう1本には、感謝と書かれていた。
私は人生の慶弔について、例えば結婚とか出産、宮参り、七・五・三、入学や入園、クリスマスや正月のお年玉、そのような祝事には、大いにお祝いや贈り物をあげるのは、気持ちのいいものだが、身内間でなんだかんだと、過度なことは避けるべきだと考えている。弔事においては尚更淡々とすべきだ。私は、自分の父や母に、この手の贈り物をあげたことはなかった。悔いは残っている。家人は女房役として、私の気づかいところで、心配りはしていてくれていたようだが。
日本がオランダに負けた試合を見終わって、悔しさが頭から抜けなくて、布団に入っても、いつまでも眠れなかった。父の日プレゼントのことを考えてみた。人は、自分の子どもを持って、初めて親の有り難さがわかる、と世間ではよく言われる。また、親を亡くして、初めて、人は一人前になるのだ、とも言われる。未婚の三女を除いて、子ども3人は伴侶に恵まれ、子どもに恵まれ、その生活の営みの中で、自分達の父親(俺のことだ)のことを、感謝してくれているのが、嬉しい。会えば、酒を飲めば、意見が違ったり、感性の違いに愕然とするがあっても、親と子ども達の関係は変わらない。
父の日プレゼントを貰ったことに喜んでいる、嬉しいのです。
もっと、私が嬉しいと思っていることを話しておこう。子ども4人は誰もが健康で、それぞれの家庭を大事にして、生活を建設的に頑張っていることだ。
もっと、もう少し、私が喜んで、嬉しいと思っていることを話そう。それは、私ら夫婦の子ども達の誰もが、伴侶と孫を伴って、我が家に顔をちょこちょこ見せてくれることなのです。飲んで、食って、取り留めのない話になってしまっても、気兼ねなく談笑できることが、楽しいのです。
子ども達よ、父の日プレゼント、有難う。
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